ピアノのグリッサンド奏法とは?
この記事を読み進めてくれるのは、”すでにある程度ピアノのグリッサンド奏法について知っていて、マスターしたい”という人が多いんじゃないかと思います。
そんな人にはもう、ピアノのグリッサンド奏法の説明なんて必要ないと思いますが、この記事ではまず、改めて【グリッサンド奏法とは?】を説明します。
ピアノのグリッサンド奏法についての知識は完璧だ!という人は読み飛ばしてもらって構いません。
でもイマイチ自分の知識に自信が無い人は、ぜひこの項目から読み始めてみてください。
これからピアノのグリッサンド奏法をマスターするにあたって、基本的な知識があるのとないのとでは、習得にかかる時間に差が出てくるからです。
ピアノのグリッサンド奏法
ピアノのグリッサンド奏法の”グリッサンド”とは、「滑る」という意味。
その意味の通り、”1音1音を区切らずに、流れるように滑らかに音階を移動させる奏法”がピアノのグリッサンド奏法です。
具体的にどういう弾き方なのかというと、鍵盤の上を4本の指で駆け上がったり駆け下りたり。
この時に4本の指に均等に重さをかけながら動かしていくのですが、これがかなり難しいです。
また駆け上がる時と駆け下りる時では、指の向きや形などが変わります。
鍵盤の上で指を滑らせているだけのように見えますが、実はすごく繊細で細かい技術が必要とされるのがピアノのグリッサンド奏法なんです。
ピアノのグリッサンド奏法とポルタメント奏法は違う
よくピアノのグリッサンド奏法と、バイオリン演奏などで用いられる”ポルタメント奏法”を混同している人がいます。
基本的には全く異なる奏法なのですが、何となく似ているので間違えちゃう人が多いようですね。
何となく似ている2つの奏法ですが、大きな違いはその”速度”にあります。
どちらも2つの音の間を繋げて演奏するのは同じ。
そしてさらに、最大の違いは”ポルタメント奏法はピアノの演奏に用いられない”ということ!
ピアノが誕生してからの長い歴史の中で、ポルタメント奏法をピアノの演奏に用いた人はいます。
しかしポルタメント奏法をピアノで再現するのは難しいと言われており、基本的にはピアノの演奏には用いないことになっているんです。
なので、似ている2つの奏法ですが、ピアノを弾く場合には「ポルタメント奏法は自分に関係ない」と覚えておきましょう。
ピアノのグリッサンド奏法のここが難しい!
実際にピアノのグリッサンド奏法の練習をしてみて、難しさを感じている人がたくさんいるようです。
その人たちの体験談を参考に、ピアノのグリッサンド奏法でつまずくポイントを事前に知っておきましょう。
- 【体験談①】
弾けたらかっこいいと思ってグリッサンド奏法の練習をはじめたのですが、これがなかなか難しいです。
とくに指に均等に力をかけるのが難しくて、よく音がブレてしまいます。
指に力を入れすぎても、入れなさすぎても駄目なので、まずは指に均等に力をかけられるように頑張りたいと思っています。
- 【体験談②】
指が痛くなります!
私は人よりも皮膚が薄いらしく、グリッサンド奏法の練習ばかりしていたら指がすぐに痛くなります。
ヒリヒリと痛むようになるのですが、この痛みをバカにしちゃダメです!翌日の練習に支障をきたすこともあるし、一度痛み出すとしばらくは鍵盤に触れるだけで痛くなっちゃいます。
早くうまくなりたい気持ちはすごく分かりますが、グリッサンド奏法の練習は適度が一番だど思います。
- 【体験談③】
スピードを一定にするのが難しいです。
抑揚をつけずに一定のスピードで指を滑らせなくてはいけないのですが、それが難しいです。スピードのコントロールが本当に難しい。
僕は思わず早く指を滑らせてしまう癖があって、何度も注意されます。
スピードをコントロール出来ないと、予想以上に大きい音になってしまったりもして、そうなると曲の雰囲気が台無しになってしまうので、グリッサンド奏法にはかなり神経を使っています。
ピアノのグリッサンド奏法のコツ
さてそれでは、いよいよ具体的な【グリッサンド奏法のコツ】を紹介していきたいと思います!
ピアノの先生から教えてもらったコツはもちろん、独自にネットで調べて試したうえで効果を感じたコツも併せて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ピアノのグリッサンド奏法のコツ【指の腹ではなく爪を使う】
ピアノのグリッサンド奏法のコツ1つ目は、「指の腹ではなく爪を使って弾く」です。
ピアノは基本的に”指の腹の部分”を使って演奏します。
もしかすると子供のころに、指の腹以外の、爪や拳なんかを使って弾いて起こられた経験がある人もいるかもしれません。
しかしグリッサンド奏法の時は、あえて「指の腹ではなく爪を使って弾く」のがおすすめです。
指の腹を使って弾く人も大勢いますが、中にはそれだと指がすぐに痛くなってしまう人も。
指に痛みが出てしまうと、グリッサンド奏法を用いる際に指がこわばり、キレイな音が出せなくなってしまいます。
それなので、指に痛みが出やすい人にはとくに「指の腹ではなく爪を使って弾く」ことをおすすめしたいです。
また、指の腹よりも爪の方がしっかりと鍵盤を押すことが出来るので、音がブレてしまいがちな人にもおすすめの方法です。
ピアノのグリッサンド奏法のコツ【手の角度を意識する】
ピアノのグリッサンド奏法のコツ2つ目は、「弾くときに手の角度を意識する」です。
グリッサンド奏法を始めたばかりの人だと、ついつい力が入って角度が深くなってしまう傾向に。
角度が深いと強めの音になってしまい、音の強弱をつけるのが難しくなってしまいます。
グリッサンド奏法は「浅めの角度で演奏」が基本です。
浅い角度で鍵盤に指をのせ、優しく撫でるように指を滑らせるととてもきれいな音が出ます。
また、角度が深くなってしまうとそれだけ手首に負荷がかかってしまうため、手首の故障の原因にもなってしまいます。
ピアノのグリッサンド奏法は、「浅めの角度で演奏」を意識して弾きましょう。
ピアノのグリッサンド奏法のコツ【上がりと下りで弾き方を変える】
ピアノのグリッサンド奏法のコツ3つ目は、「上がりと下りで弾き方を変える」です。
ピアノのグリッサンド奏法は、「指を駆け上がらせる弾き方」と「指を駆け下りさせる弾き方」の2種類があります。
この2種類は、「低い音から高い音へ」または「高い音から低い音へ」という違いが。
どちらも”鍵盤の上で指を滑らせる”と習うので、ついつい同じ指の形、向きで弾いてしまいますが、実は全く違うんです。
それぞれの正しい弾き方は、次の通りです。
【指を駆け上がらせる弾き方】
手のひらの向き→裏返し
指の形→真っすぐに伸ばす
【指を駆け下りさせる弾き方】
手のひらの向き→下に向ける
指の形→指を丸めて爪が鍵盤に当たるようにする
とくに多いのが、どちらも手のひらを下に向けて弾いている人。
指を駆け上がらせる弾き方では、手のひらは裏返して弾きますよ!
【動画】ピアノのグリッサンド奏法のやり方
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲
続いては、ピアノのグリッサンドが印象的な曲のご紹介です。
ピアノの練習は、曲を聴くことから始まります。まずはピアノのグリッサンドが印象的な曲を何曲でも聴いて、グリッサンド奏法を耳で理解しましょう。
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲【エチュード・アレグロ】
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲、1曲目は『エチュード・アレグロ』。作曲者は「中田喜直」です。
テンポの速い、とてもリズミカルな冒頭が印象的な『エチュード・アレグロ』。
全体的に明るい印象を受ける曲で、音楽性が高い1曲。
高レベルな演奏技術が必要な曲なので、よくピアノの発表会で使用される曲でもあります。
最後のグリッサンドが素晴らしく効果的な曲で、リズミカルなこの曲を見事にまとめあげています。
この曲を聴いてピアノのグリッサンド奏法に憧れを抱く人も多いのだとか。
ピアノのグリッサンド奏法をマスターしたら、ぜひ弾きこなしたい曲です。
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲【水族館】
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲、2曲目は『水族館』。作曲者は「サン=サーンス」です。
フランスの作曲家、サン=サーンスが作曲した組曲『動物の謝肉祭』の第7曲目にあたるのがこの『水族館』。
全39小節で、グラスハーモニカをはじめとして、フルートやヴァイオリン、チェロなども入っています。
全体的に幻想的でファンタジー色の強い曲。
曲の強弱をつけるのに効果的にピアノのグリッサンドが使用されています。
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲【バターつきパン】
ピアノのグリッサンドが印象的なピアノ曲、3曲目は『バターつきパン』。作曲者は「モーツァルト」です。
最後にご紹介する曲は、あのモーツァルト作曲の『バターつきパン』という曲。
この曲の面白いところは、右手のパートが指1本で演奏されるところ。
ハ長調のワルツになっていて、別名「指1本のワルツ」としても有名な曲なんです。
現在ではモーツァルト作曲ということで落ち着いていますが、実は正確なことは分かっておらず。
モーツァルトの父が作曲したのではないか、という説もある謎多き曲でもあります。
もちろんピアノのグリッサンドが印象的な曲でもあって、曲のタイトルも”まるでパンにバターを塗るように”鍵盤に指を滑らせて演奏することから名付けられています。
ピアノのグリッサンド奏法を身につけよう!
ピアノのグリッサンド奏法について、私が調べたことを全てまとめて記事にしてみましたがいかがでしたか?
ただ演奏するだけでも楽しいピアノですが、高度な技術であるグリッサンド奏法をマスターすると楽しさが倍増。
ますますピアノの演奏が楽しくなること間違いなしです!
ピアノなどの楽器演奏には才能の有無も関係すると思いますが、基本的には練習量で差がつきます。
社会人になってからピアノを習い始めた私も、毎日練習を欠かさなかったおかげで、今は堂々と発表会で演奏できるレベルにまで成長しました。
新しい技術を身につければ身につけるほど、どんどん演奏が楽しくなってくるピアノ。
ぜひ皆さんもグリッサンド奏法を身につけて、ピアノの演奏を楽しんでくださいね。