指に優しいアコギ弦の選び方
「アコギの練習をしてたら指が痛くなって、シャンプーするのがつらい…」
ギター初心者なら誰しも経験すると思います。そこで、長時間練習しても指が痛くなりにくい、指に優しいアコギ弦の選び方を紹介していきます。
ゲージタイプは細い弦を選ぶ
弦の太さのことを「ゲージタイプ」といいます。初心者は細い弦を選びましょう。細い弦の方が、柔らかいので、弱い力でも抑えやすく指への負担が減らせます。
ゲージタイプは主に5種類あります。
「ヘヴィゲージ」「ミディアムゲージ」「ライトゲージ」「カスタムライトゲージ」「エクストラライトゲージ」の順で弦が細くなっていきます。初心者は、「ライトゲージ」や「カスタムライトゲージ」、「エクストラライトゲージ」あたりを選びましょう。
細い弦は抑えやすいのがメリットですが、どうしても音色が細くなってしまいます。太い弦は抑えにくいものの、弦の揺れ幅が大きく厚みのある音色が出せます。最初は細い弦で練習して、徐々に太い弦に切り替えていくのがおすすめです。
素材は好みで選んでOK
弦の素材には、「スチール弦」と「コンパウンド弦」の2種類があります。
「スチール弦」は銅で合成された金属っぽい素材です。アコースティックギターと聞いて想像する一般的な弦はこれです。「コンパウンド弦」はシルク系の合成繊維の上から、銀メッキされた導線が巻かれている弦です。スチール弦に比べると、サウンドはかなり独特で、クラシックギターのようなかなり甘い音になり、サスティーン(音の伸び)も短くなります。一般的に想像されるアコギの音とは全く違う音になるので、「あえて、アコギっぽくない音を出したい!」という人以外にはおすすめできません。
特にこだわりがないのなら、アコギにはスチール弦を使うのが定番です。さらにスチール弦には「ブロンズ製」と「フォスファー・ブロンズ製」の2種類あります。
種類 | 素材 | 色 | 音色 |
---|---|---|---|
ブロンズ(Bronze)製 | 銅とスズで合成。 ([80/20 Bronze]と書かれていたら、銅80% リン20%という意味) |
金色 | スタンダードな弦。中低音が綺麗にでる。弦の主張が少なく、良くも悪くも普通の音。ギター本来の音を生かしたい人におすすめ。 |
フォスファーブロンズ(Phosphor Bronze)製 | 上記のBrinze弦に「リン」も合成。 | 褐色 | 高音域が綺麗にでる弦。きらびやかな音だが、主張が強いと感じることも。サスティーン(音の伸び)に優れている。音を響かせたい人におすすめ。 |
どちらも弾きやすさにはほとんど差がありません。音色の好みで選ぶと良いでしょう。
長持ちさせたいならコーティングつきのものを選ぶ
「弦を頻繁に交換するのはめんどくさい!」
という人は、コーティング付きの弦を選びましょう。弦の表面がコーティングされているので、手汗などの汚れが原因の錆びを防ぐことができます。コーティング弦は値段は少し高くなりますが、交換頻度が下がるためコスパは良くなります。
しかしコーティング付きの弦でも、ガンガン弾いているとピックや指との摩擦でコーティングが剥がれていきます。たくさん練習する人なら、安い弦を頻繁に変えるほうが、常に新品の弦特有の音と弾きやすさで練習できて良いでしょう。
また、梅雨などの湿気がひどく弦が錆びやすい季節のみ、コーティング弦を使うのもおすすめです。
初心者におすすめのアコギ弦3選
以上の条件を満たしている、初心者におすすめのアコギ弦を紹介しています。
DADDARIO(ダダリオ) / EJ11 80/20 Bronze Wound Light
価格:648円(税込)
スチール弦(ブロンズ製・フォスファーブロンズ製の両方あり)
コーティングなし
業界スタンダードの弦です。定番なのでどこの楽器店にも置いてあります。平均的な価格で買いやすいのもメリット。
「本来のアコギの音ってこんな感じだよね〜」という素朴な音が特徴です。弦の音色にクセがないので、ギター本体の”ボディの鳴り”を邪魔しない弦です。良いギターを使っている人なら、ギター本体の良さを引き出すためにぜひ使ってほしい弦です。音色は明るめですが、低音も良くでるというトーンのバランスもピカイチ。コーティングはないものの、価格に対して、音質のバランスが非常に良くておすすめです。
- アコギ本来の音を出したい
- 定番の弦が使いたい
- 音色のバランスが取れた弦がいい!
「エクストラライトゲージ」「カスタムライトゲージ」「ライトゲージ」「ライトミディアムゲージ」「ミディアムゲージ」の太さから選べて、素材も「ブロンズ製」と「フォスファーブロンズ製」が用意されています。
「エクストラライトゲージ」の購入はこちら
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「ミディアムゲージ」の購入はこちらフォスファーブロンズ製
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ELIXIR(エリクサー) / NANOWEB Phosphor Bronze Light #16052
価格:1,695円(税込)
スチール弦(ブロンズ製・フォスファーブロンズ製の両方あり)
コーティングあり
コーティング付きの弦。少し高いものの、錆びにくいので頻繁に弦を交換したくない人におすすめです。
ELIXIRの弦は音にクセがあり、音色を聞くと「あ、ELIXIRの弦だな」とわかるくらい特徴的です。安いギターに使用する分には、きらびやかな音で良いのですが、裏を返せばどんなギターでも強制的にELIXIRの音にしてしまいます。良いギターにつけると、そのギターの良さが活かせないので勿体無いのが難点です。
- 錆びにくい弦を使いたい
- 特徴的な音色の弦が欲しい
「エクストラライトゲージ」「カスタムライトゲージ」「ライトゲージ」「ライトミディアムゲージ」「ミディアムゲージ」の太さから選べて、素材も「ブロンズ製」と「フォスファーブロンズ製」が用意されています。
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PLAYTECH (プレイテック) AGS-1252
価格248円(税込)
スチール弦(ブロンズ製のみ)
コーティングなし
とにかくめちゃくちゃ安い弦。コーティングはありませんが、価格に対して質や持ちもそこそこ良く、コスパの良い弦です。ピックも付いてきます。音量は他の弦よりやや小さめなので、自宅で控えめに練習したい人にもぴったりです。
もちろん弦を頻繁に張り替える人にもおすすめできるのですが…。筆者がこの弦をもっともおすすめしたいのは、「初めてギター弦を交換する人」です!初めて弦を交換するとき、途中で失敗して弦が切ってしまうことがあります。筆者も初めての弦交換でやらかしました。これ、高い弦だとめちゃくちゃ落ち込みます。弦交換に慣れないうちは、安い弦で交換の練習をするようにしましょう。
- とにかくコスパの良い弦がほしい
- 弦交換に慣れていない
- 音量が小さめの弦がほしい
素材は「ブロンズ製」のみですが、太さは「エクストラライトゲージ」「カスタムライトゲージ」「ライトゲージ」「ミディアムゲージ」から選べます。
自宅でできる!最も簡単な弦交換方法
弦の張り方は色々ありますが、ここでは1番オーソドックスで簡単な方法を紹介します。弦交換のタイミングでやっておきたいメンテナンスの紹介もしていきます。これからギターをやっていく上で、弦交換は何度もすることになります。案外難しくないので、ぜひ自分でできるようになってみてください。
①必要なものを用意する
弦交換に必要なものを用意しましょう。
<絶対に必要なもの>
①アコギ本体
②新品の弦
③ニッパー
<あったら便利なもの>
④クロスなど、布製の拭くもの。
⑤指板用オイル
⑥ストリングスワインダー(ペグを自動で巻いてくれる)
以上のものを用意したら、弦交換スタートです!
②古い弦を取り外す
まずは古い弦を取り外します。ペグ(丸で囲われた部分)を回して、張ってある弦をだるだるになるまで緩めます。ペグをどちらに回したら良いかわからない人は、弦を鳴らしてみて、音が低くなる方に回せばOKです。
ゆるくなったら、ブリッジピン(丸で囲われた部分)を上に抜きます。ゆるくない段階でブリッジピンを抜くと、弦が飛んできて危ないので、きちんと緩めてから抜きましょう。
ブリッジピンは抜けにくいので、サウンドホールに手を入れて裏から押し出すか、ニッパーで抜きましょう。これで弦を固定するものはなくなったので、そのまま古い弦を取り外します。
③指板を掃除する(必要な人だけ)
普段手入れがあまりできない指板は、弦交換の際に綺麗するのがおすすめです。(不要な人は飛ばしてください。)
クロスで指板を拭きましょう。特に、フレットの溝は指の垢など汚れがたまりがちなので念入りに掃除しましょう。拭いてみると、意外と汚いことがわかります。指板オイルがある人は、クロスになじませてから拭いてみましょう。汚れが落ちやすくなるだけでなく、指板の乾燥を防いでひび割れを防ぎます。
④新しい弦のボールエンドを少し曲げる
新しい弦を開封して、弦の後ろに付いている輪っか「ポールエンド」を少し折り曲げます。このポールエンドは弦を引っ掛けて固定するためにあります。少しだけ曲げることで、さらに引っかかりやすくなります。
⑤新しい弦をブリッジの穴に入れてピンで固定する
弦はそれぞれ太さが違うので、何弦なのか確認します。ポールエンドが付いている側を、ブリッジの穴に入れます。ポールエンドの輪っかが横になるように、弦の向きを変えます。
次に、ピンを半分くらいさしてみて、弦を上に引っ張ってみましょう。ポールエンドが引っかかる感覚があればOKです。そのままピンを最後まで押し込みます。
⑥ペグの穴に弦を通して固定する
ポールエンドの反対側の弦を、ペグの穴に通します。通す穴を間違えないように気をつけましょう。
穴に通したら、弦がピーンが伸びるまで弦を張ります。弦をしっかり巻きつける用の部分を作る必要があるので、ナット上(丸の部分)で弦を抑えながら、1フレットぶん(約4センチ)くらいブリッジ側にずらして、余裕を持たせます。これを行わないと、巻きつける用の弦が足りなくなり、弦がパツパツになって切れやすくなるだけでなく、弦を限界まで張っているためネックに負担がかかりネック反りの原因になります。1弦と3弦はもともと切れやすいので、2フレットぶん(約8センチ)くらい余らせるのがおすすめです。
余らせたら、ペグの穴から飛び出た弦を固定していきます。
時計回りにぐるっと回して、
張っている弦の下をくぐらせたら、
来た道と反対方向に折り曲げてロックさせます。
これで、弦を巻いている途中に抜けないようになります。
⑦弦を引っ張りながらペグを回して弦を巻く
ペグを回して弦を巻いていきます。弦を、ブリッジ側に少し引っ張りながら巻くと綺麗に巻くことができます。この時にストリングスワインダーがあると、素早く巻くことができて便利です。
回す向きは、左の3つ(6弦 5弦 4弦)は上向きに、右の3つ(3弦 2弦 1弦)は下向きに巻いていきます。いずれも外側に巻いて行くイメージです。
ある程度まで巻いたら、他の弦も⑥と⑦と同じように巻いていきます。
⑧チューニングして余りを切る
6つの弦を全て張り終わったらチューニングをします。チューニングが終わったら、ペグ側の余った弦を、1センチくらい残してニッパーで切り落とします。弦の切れ端は鋭く、怪我の原因になるので、あまり長く残さないようにしましょう。
チューニングをする前に弦を切ってしまうと、弦が足りなくて抜けてしまうことがあります。必ずチューニングをしてから弦を切りましょう。
このように、少しだけ残して切ると良いでしょう。
⑨ギターに新しい弦を馴染ませる
張りたての弦は、すぐにチューニングがずれるので、弦を馴染ませましょう。
弦を少し引っ張ったり、弾いてみる→チューニングがズレる→チューニングを直す。
を何度か繰り返して、弦を馴染ませると、早くチューニングが安定するようになります。
弦の交換時期は?
弦の寿命は大体2週間くらいと言われています。弦は、酸素に触れた途端からどんどん酸化して錆びていきます。古くなった弦をそのままにしていると、
・サスティーン(音の伸び)が短くなる
・音が曇って聞こえる
・弦が引っかかって、チョーキングやビブラートなどがやりづらくなる
・錆びた弦で、フレットを削りやすくなる
などの弊害が出てきます。弦交換の目安としては、
・サビが出ている
・変色している
・光沢がなくなっている
1つでも当てはまっていたら交換するのが理想です。本来なら2週間で交換するのがベストですが、費用や手間的に厳しい人は、3ヶ月に1度は必ず交換するようにしましょう。
弦を長持ちさせる方法
普段から弦をこまめに拭いて、汚れを落としておくだけで弦の錆びを防ぎ、長持ちさせることができます。ギターの使用後、そのままギタースタンドに立てかけるのではなく、クロスなどの布で弦の表面を拭きましょう。指垢や手汗は、酸化の大きな原因となるため、拭いておくだけで弦の持ちが劇的に良くなります。
痛くならない弦で、思う存分アコギの練習をしよう!
今回は、初心者でも指が痛くなりにくいおすすめの弦と、その交換方法についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。弦交換は、ギターをやる上で逃れられないので、マスターしておきましょう。
あなたが常に心地のいい音でギターを弾けるようになることに、この記事がお役にたてば幸いです。