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基礎知識

エフェクター初心者におすすめなベースプリアンプ4選|絶対失敗しない選び方と使い方

音量

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ライブやスタジオで使い慣れていないアンプに当たって、音作りに苦戦した…というのは、ベーシストなら誰しもが経験するでしょう。練習や本番前に、音作りに手こずりたくないですよね。そのため、安定した音作りが再現できるプリアンプのエフェクターは、今やベーシストにとって必須の機材になっています。

プリアンプを買おうとしても、いろいろとありすぎてどれが良いのかわからない…と悩んでいる人も多いでしょう。そういう人は、「音作りに役立つ」という漠然とした認識ではなく、プリアンプがどういうエフェクターなのかをしっかり知っていくことで、理想の一台に辿り着きやすくなります。

この記事ではプリアンプの役割から、具体的な使い方、機種ごとの特徴などを詳しく解説していきます。あなたの理想のサウンドへの足掛かりになれば幸いです!

プリアンプとは

プリアンプ
プリアンプとは、アンプの音質を調節するための機械のこと。ベースアンプは一台の中にプリアンプ、パワーアンプという部位があり、それぞれに役割が分かれているのです。

プリアンプはアンプに入力された電気信号を、聴きやすい形に整える役割を持っています。ベースをアンプに繋ぐと、弦の振動を電気信号に変換したものがアンプに送られるようになります。その電気信号はそのままの状態で音に変換すると、ノイズだらけで聴けたものではないため、プリアンプで整えるようになっているのです。プリアンプは電気信号を聴きやすい形に変換すると同時に、鳴っている音域ごとのバランスを調整する機能も持っています。アンプにはボリュームやイコライザーが付いていて、音のキャラクターを好みに合わせて作ることができますよね。いつもいじっているあの部分がプリアンプなのです。

パワーアンプは、プリアンプで調整された電気信号を十分な音量で鳴らせるように増幅する機能を持っています。つまりアンプに入力された電気信号は、プリアンプ、パワーアンプを経て、聴きやすい状態に処理された上で初めてスピーカーから鳴らされるのです。

ベース本体に搭載されたものやエフェクター型のプリアンプがある

アンプに搭載されているものの他にも、プリアンプにはオンボードプリアンプとアウトボードプリアンプがあります。

オンボードプリアンプというのは、ベース本体に搭載されたプリアンプのこと。電池を入れて使うアクティブベースにはオンボードプリアンプが搭載されていて、手元でも積極的な音質調整をすることができるのです。しかしベース本体に載せる以上、スペースの制限もあって、オンボードプリアンプはそこまでの機能を期待できるものではありません。飽くまでも調整に使うものという印象で、それだけでガッツリとサウンドメイキングしようとすると少し難があります。

アウトボードプリアンプというのは、足元で音の調整ができるプリアンプのエフェクターのことです。アンプに搭載されたプリアンプにも劣らない機能を持っているので、ライブでも重宝されるほか、アンプを使わずにPCに直接音を入力するライン録音などにもよく使われます。この記事で取り上げていくのはこのアウトボードプリアンプです。

アウトボードプリアンプを使う理由

アウトボードプリアンプ
アウトボードプリアンプが多くのベーシストに重宝されている理由は、音質を調整できるプリアンプの機能を持ち運べるという点にあります。スタジオやライブハウスに置いてあるアンプは種類によってプリアンプの機能が違うので、使い方に慣れていないアンプに当たったときに気に入った音を鳴らすことが難しいからです。使い慣れたアンプが持ち運べるのなら、いつどんなときでも自分の慣れた機能で音作りができます。「でもアンプのヘッドを持ち歩くのは大変…」ということで、丁度良いサイズのアウトボードプリアンプを使う人が多いのです。

ライブで理想のサウンドを再現するためには、アンプより前の段階で音作りをする必要があります。アンプで音を作っても、客席側のスピーカーで鳴っている音には反映されていないからです。ライブをしている人なら、アンプに直接ベースを繋げるのではなく、DIという機材が間に入っていることも知っていますよね。このDIを通して、アンプに入力される前の段階ですでにPAに音が送られているのです。DIに入力される前に、アウトボードプリアンプで音を作っていれば、自分の好みを客席側のスピーカーにも反映することができます。

レコーディングにおいてもベースの場合、実際にアンプで鳴らした音をマイクで録るよりもライン入力で録音することが多くなるので、アウトボードプリアンプが重宝されます。ベースのライン録音が多い理由は、低音楽器はマイクでは拾いにくいから。ライン録音のデメリットはアンプを鳴らしたときの臨場感が薄れることですが、アウトボードプリアンプを使えば、アンプで鳴らしたものに近い音をライン録音でも録ることができるのです。

アウトボードプリアンプの繋ぎ方

アウトボードプリアンプ
アウトボードプリアンプはエフェクターの形になっているので、他のエフェクターの前に繋いだり、後に繋いだりすることでその使い方が変わってきます。使うエフェクターがプリアンプだけならその使い方もシンプルですが、他のエフェクターを一緒に使う場合、繋ぐ順番や、プリアンプにどういう役割を持たせるのかも考えましょう。ここでは繋ぎ方の例を挙げながら、それぞれの場合でプリアンプがどういった役割で使われているのかを見ていきましょう。

①エフェクターを通す前の原型になる音を作る

一つ目は「ベース→プリアンプ→エフェクター類→アンプ」という繋ぎ方。エフェクターをかける前の根本の音色をプリアンプで作る例です。ベース本体のキャラクターをここの段階で形作ってしまいます。よってこの繋ぎ方だとプリアンプのON/OFFはせず、常にかけっぱなしが基本です。根本が変わってしまうと、その上にかかっているエフェクターの効果も大きく変わってしまいますからね。この使い方ではプリアンプで作った音を基本にして、その他のエフェクターのON/OFFで音色を使い分けていくことになります。

②エフェクターで作った音の最終調整

エフェクター
出典:SOUND HOUSE
二つ目は「ベース→エフェクター類→プリアンプ→アンプ」という繋ぎ方。この位置にプリアンプを繋げる場合、その役割はエフェクター類で作った音の最終調整になります。オーバードライブのような歪み系や、ディレイやコーラスといった空間系などは、効果のかかり具合は調整できても、音色自体を調整する機能は備わっていません。そこでエフェクターで作り切れなかった部分を補うように使うのが、このプリアンプの繋ぎ方です。例を挙げれば「もうちょっと高音域が出ていた方が、歪みの成分が際立って聴こえそうだな…」といった場合など。この使い方だと、根本の音をプリアンプで作っているわけではないので、万が一プリアンプの電源がOFFになってしまった場合も、大きく音が変わる心配はありませんね。

②飛び道具として使う

三つめはプリアンプ自体を飛び道具として使ってしまうパターン。飛び道具というのは、ここぞという場面で主張の強い音を出すための道具のこと。この場合、プリアンプを繋ぐ位置に決まりはありません。

一般的に飛び道具というと、歪み系や、ワウ、フランジャーのような効果がわかりやすいエフェクターで行うものですが、プリアンプは幅広く音色が調整できるため、そういった音の印象をガラっと変えたい場面に使うこともできるのです。またアウトボードプリアンプは歪みの機能を備えているものが大半なので、単純に歪みエフェクターとして使っているアーティストも多いんですよ。

最初は定番機種から選ぶのがおすすめ

ポイント
プリアンプの役割がわかったところで、理想のサウンドを実現してくれるエフェクターを選びましょう。おすすめは、最初の一台は奇をてらわず、定番機種から選ぶことです。いくらレビューを読んだり試奏をしたりして気に入ったとしても、結局はライブや練習で使い込んでみないと、その機種の使い勝手はわからないからです。その点、定番機種と呼ばれているものを選べば、音質調整をする上で重要な機能はカバーされています。そして多くの人から定番とされるだけあって使いやすいのです。

使い慣れてくると、そのプリアンプのどういう部分が好きで、どういう部分が足りないかということも徐々にわかるようになってきます。そうなれば、試奏でも機種の魅力を判断することができるようになります。つまり一台で理想に辿り着こうとするのは無謀な話で、最初の一台は、プリアンプというエフェクターに慣れる意味も込めて選ぶのが良いのです。

定番機種にしてもキャラクターがそれぞれにあるので、自分の目指す音のイメージに合ったものから選ぶようにしましょう。どちらにしても定番を選んで音が悪い方向に運ぶことはないので、その一台で満足できることも十分にあり得るでしょう。

一台目に選ぶならコレ!定番アウトボードプリアンプ4選!

Tech 21 SansAmp BASS DRIVER DI

プリアンプ
出典:SOUND HOUSE
¥25,704(税込み)
ゴリっとロックな音を目指す人にオススメなのがこの機種。「サンズ」「ベードラ」などの愛称で親しまれていますね。ベースのアウトボードプリアンプの中では、恐らく最も愛用者の多い機種です。最大の特徴は、繋ぐだけで音にグッと厚みが出ること。年々モデルチェンジしていますが、この音色のクセだけはずっと変わりません。

最新のモデルには、MIDDLEとBASSのつまみで調節できる帯域を切り替えるスイッチがついています。設定されている帯域も絶妙で、スイッチ一つでキャラクターが一気に変わります。「もっとヘビーなサウンドにしたい」「中域のキャラクターを際立たせたい」のような漠然とした感覚からの音作りもしやすいですね。イコライザーつまみとこのスイッチを組み合わせることで、相当に多様なサウンドメイキングが可能です。古いモデルではMIDDLEつまみがないことがネックとして挙げられていたので、そのイコライザーの機能性に「随分進化したものだなぁ…」と驚かされました。

ただ、多様な音作りが可能だといっても、どんな設定をしてもサンズ独特の厚みは消えません。パワフルなサウンドを目指すならバッチリですが、ベース本体の木の鳴りを大事にした、ナチュラルなサウンドを目指す人には向かないでしょう。

MXR M80 D.I.+

プリアンプ
出典:SOUND HOUSE
¥15,876(税込み)
ナチュラルな音作りがしたい人にオススメなのが「MXR M80 D.I.+」。古くからサンズと並ぶ定番として挙げられてきたのがこの機種です。愛用者の数もサンズの次に多い印象があります。

プリアンプ自体のクセがなく、ベース本体のキャラクターを活かした音作りができます。イコライザーはBASS、MID、TREBLEとシンプルですが、それぞれにツボを抑えた帯域になっていてセッティングも決まりやすいです。

歪みのチャンネルで作った音と、イコライザーのチャンネルで作った原音を混ぜることで音作りしていく仕組みも良いですね。イコライザーで作ったニュアンスに、そのまま歪みの要素を加えるような作り方ができます。他の機種を見ていると、歪みを調整するDRIVEつまみがイコライザーと同じチャンネルになっているものが多いです。その点歪みとクリーンの使い分けがスイッチ一つでできるのも、この機種の強みでしょう。

また値段が他のアウトボードプリアンプに比べて安価なのもイチオシポイントです。安いからといって他の機種に劣らないことも、プロに愛用者が多いことが証明しています。

EBS Micro BassⅡ

プリアンプ
出典:SOUND HOUSE
¥32,184(税込み)
AチャンネルとBチャンネルで別のイコライザーが用意されていて、1台で2種類の音色を用意しておけるのが「EBS Micro Bass Ⅱ」です。ベースを差し込むインプットも2つ用意されているので、2本のベースそれぞれにイコライザーを設定しておくことも可能。曲ごとに持ち替えて演奏することもできてしまいます。チャンネルごとに音色の特性も違っていて、Aチャンネルは中域をスッキリとさせたジャズベース風のサウンド、Bチャンネルは逆に中域の主張が強いブリっとしたサウンドが作りやすい設定です。

またA+Bのスイッチを押せば、二つのチャンネルを合わせたサウンドメイキングが可能になり、さらに音色を作り込むことができます。ベースは音色に大きな変化を求められることが少ないので、A+Bスイッチを使った音作りがこの機種のスタンダードだといえますね。

その他にもスピーカーシュミレーターの機能を使えば、ライン録音においてもアンプの鳴りを再現することができるなど、本当に多機能なプリアンプです。

プリアンプ自体のキャラクターも強く、ハリのある中域が心地良いサウンドになっています。この機種も前述のサンズアンプと同じように、どう音作りしてもその特徴が出てきてしまうので、そのクセが好みでない人には向きません。また他の機種と比べて群を抜いて多機能なので、その分セッティングは複雑になってしまいますね。

 

Aguilar Tone Hammer

プリアンプ
出典:SOUND HOUSE
¥24,624(税込み)
ベース本体に搭載するオンボードプリアンプとして、人気を誇っていたOPB-3というモデルをエフェクター型にしたものが「Aguilar Tone Hammer」。その成り立ちから想像できるように、イコライザーの効き具合にこだわって作られています。特に中域のイコライザーは幅広く設定も変えられて、使い勝手良しです。プリアンプ自体のキャラクターはほとんどなく、ベース本体の魅力を引き出すタイプの機種ですね。

AGSはこの機種ならではの回路で、この機能を使えばまるで真空管を使ったような独特な歪みサウンドを作ることもできます。ソロなどで単純に音圧を上げたいときのブースターとしても優秀ですね。

ネックを挙げるとすれば、18V電源が必要だということ。専用アダプターか、9V電池を2使うことになります。エフェクター自体もずっしりと重いので、他の機種と比べると手軽さでは劣りますね。それだけ高品質なサウンドが作れるということは保証できます。

プリアンプを使った音作りの基本

CHECK
プリアンプの使い方は実際に使っていく中で学んでいくものですが、それにしても闇雲にいじるのは効率が悪いです。プリアンプを使った音作りの基礎的な部分をここで抑えておきましょう。

つまみがフラットな状態から音量を決めていく

音作りを始めるときはイコライザー、ゲイン、ボリュームのすべてのつまみを12時方向に合わせて、そのプリアンプのフラットな状態から音を作っていくようにします。フラットな状態にしたら、そこからゲインとボリュームのつまみを使って基準になる音量を決めます。この音量はプリアンプをOFFにしたときとあまり変わらないようにするのがポイントです。ONとOFFで音量が変わり過ぎると、プリアンプを使ってどんな風に音質が変化しているのか判断がつきにくくなりますからね。

ゲインは入力感度、ボリュームは出力のこと。二つのバランスを調整しながら音量を決めていきます。このときゲインの割合を大きくしていくほど、歪みのかかった荒くたい音質になっていきます。オーバードライブまではいかないけど、音にちょっとした暴れ感を出したい場合などは、ゲインの割合を大きく設定すると良いですね。

イコライザーの原理はボリュームと同じ

イコライザー
音量が設定できたら、次はイコライザーを調整していきます。誤解している人も多いですが、イコライザーもボリュームのつまみと原理は同じです。ボリュームつまみは全体の音量を上げたり下げたりするもの。イコライザーはボリュームつまみの機能を低域、中域、高域と、帯域ごとに分けて行えるようにしたものです。例えばイコライザーのBASSを上げれば低域が強調されますが、それは音質が変化しているのではありません。低域の音量が上がることで、他の帯域より強調されて聴こえるようになるのです。

イコライザーのセッティングをするときは、最初にボリュームとゲインで決めたものからなるべく音量を変えずにセッティングしていくのが基本です。イコライザーのセッティングで大きく音量が変わってしまっては、プリアンプのON/OFF時の音量を揃えた意味がなくなってしまいますよね。つまり低域を持ち上げたなら、その分どこかの帯域を下げるか、ボリュームを下げることで音量のバランスを取っていくようにします。ここからは、それぞれの好みによってどこの帯域を強調するか、どこの帯域を抑えるのかを決めていきます。

イコライザーは下げる方向で音作りする!

イコライザーは持ち上げるよりも、下げる方向で音作りしていった方が上手くいきやすいと覚えておいてください。つまり低域を強調したいのなら、低域はそのままの状態で、中域や高域を下げるのが良いのです。持ち上げるというのは、元々ないものを足していくということ。ないものを足していくよりも、あるものを削っていく方が音質的に無理がないのです。

プリアンプのセッティングは毎回最初から行うことをおすすめします。「これだ!」と決めたセッティングを持ち運べるのが、エフェクターの利点ではあります。しかし毎回セッティングする方が音に対する感度を鍛えることができるからです。

同じセッティングをしていても、使うアンプによって鳴り方も変わってきます。そういうときもどこをいじればどういう風に音が変化するのかをしっかり理解していれば、迅速に対処することができるでしょう。またセッティングするときはつまみの向きなどで覚えるのではなく、何より耳で聴いた音の感じを大事にしてください。セッティングうんぬんを覚えるよりも、自分の耳を鍛えることで、あらゆる機材を上手に使うことができるようになります。

プリアンプを使いこなして理想のサウンドへ!

ライブ
機材というのは、「こういう音が出したい」という理想があって、初めて意味を持ってくるもの。その理想も、機材を使って作れる音がわかっていないと描きにくいものです。記事の中で挙げた

  • プリアンプの役割を理解する
  • まずは定番機種から選ぶ
  • セッティングうんぬんよりも、耳で聴いた印象を大事にする

というポイントを念頭に置いてプリアンプを使うことで、自分の理想のサウンドを具体的に思い描けるようにしていってください。そうすることで、機材の真価を引き出せるようになっていきます!