目次
サックスの基礎知識
まず、サックスはどのような楽器なのでしょうか。サックスが誕生した背景やどのような楽器かを知ることで理解を深めましょう。
サックス誕生の背景
サックスは1840年にベルギーで管楽器を製作していたアドルフ・サックスによって開発されました。もうお気づきかと思いますが、サックスはこの開発者のアドルフ・サックスの名前にちなんで命名されました。
アドルフ・サックスの父も楽器を製作しており、その影響から幼いころから楽器を製作しています。そのアドルフ・サックスがフルートやリコーダーのような木管楽器の扱いやすさとトランペットのような金管楽器の幅広い音色を兼ねそろえた楽器を開発できないかと考えて開発したのがサックスです。
トランペットなどに比べると比較的新しい楽器なので様々な楽器の良いところを兼ねそろえた楽器と言えるでしょう。一般的にサックスと呼ばれることが多いですが、これは略称で正式にはサクソフォーンと言います。
サックスの仕組み
サックスは金属製ですが木管楽器のように唇を振動させることなく音を出すことができます。では、どのようにして音を出しているのでしょうか。
サックスは息を吹き込むマウスピース部分に取り付けてあるリードが振動することで音を出しています。また、主に真鍮などの金属でできた本体にはトーンホールと呼ばれる音を変化させる穴が開いており、この穴の塞ぎ方の組み合わせで音程を表現することができます。
サックスの種類
サックスは音域によって9つの種類に分けることができます。また、それぞれに特徴があるのでしっかりと理解しましょう。
ソプラニッシモサックス(ピッコロ)
ソプラニッシモサックスはサックスの種類の中でも、最も高い音域をもつサックスです。非常に小さい直管型のサックスです。透き通った高音が特徴的ですが、演奏に技術を必要とし使用される頻度は少なく楽器としてもレアな楽器です。
ソプラニーノサックス
ソプラニッシモサックスに次いで高い音域を出すことができます。このソプラニーノサックスも直管型のサックスです。サクソフォンアンサンブルなどで使用されますが、このソプラニーノサックスも演奏が難しく、使用される頻度も少ないサックスです。
ソプラノサックス
ソプラノサックスは澄んだ繊細な高音が特徴的なサックスです。サクソフォーン四重奏では楽曲をリードする役割を担当します。楽器の形状としては、直管のタイプのものとアルト以下の音域のサックス同様にU字のタイプのものがあります。ジャズなどで調性が同じテナーサックスの奏者が使用することが多いです。
アルトサックス
アルトサックスはサックスの中では中音域になり、流通している量も多く最も一般的なサックスです。サックスのソロ曲や協奏曲はアルトサックスのために作られているものも多く、ジャズやポップスでも重宝されるので幅広く使用できます。
テナーサックス
テナーサックスは中音域のサックスですが、アルトサックスに次いで使用される頻度や汎用性も高いサックスです。特徴的な豪快で深みや色気のある音色が人気です。その音色からジャズやポップス、ソロ演奏など幅広く活躍することができます。
バリトンサックス
バリトンサックスは、主に楽曲の低音部分を担当するサックスです。アルトサックスと1オクターブ音域が違うのでアルトサックスとともに主旋律やソロを弾くこともあります。バリトンと呼ばれるバリトンホルンとの区別を図るために通称バリサックスやバリサクと呼ぶこともあります。
バスサックス
バスサックスはバリトンサックスよりも低い音域を出すことができるサックスです。吹奏楽やサクソフォーンアンサンブルで用いられることがあります。低く太い音色が特徴で本体も非常に大きいです。そのため持つのにも吹くのにも体力を必要とします。
コントラバスサックス
コントラバスサックスは、バスサックスよりも低い音域を出すことができますが、使用する頻度は非常に少なく国内にも数本しかないと言われています。大きさも2m以上のものもあり価格も数百万円ととても高価です。
サブコントラバスサックス
サブコントラバスサックスは1999年にドイツのエッペルスハイム社が初めて製作しました。3m近い非常に大きなボディで特有の大きな響きで低音を奏でます。世界にも数本しかないほどレアなサックスです。
サックスの選び方
では、これだけ種類のあるサックスの中からどのサックスを選べばよいのでしょうか。気を付けたい点や選び方のポイントについて解説していきます。
一般的なサックスは4種類
サックスの種類として全部で9種類のサックスをご紹介しました。しかし、この中で一般的によく用いられるのはソプラノ・アルト・テナー・バリトンの4種類です。その他のサックスは音域も極端に高低に偏っているので使用頻度としては少なく、製品としても希少です。
また、クラシックではアルトサックスがよく用いられ、ジャズやポップスではアルトサックス・テナーサックスがよく使用されます。
サックスの大きさで考える
大きさや形状も選ぶ際には重要なポイントです。サックスは一般的に音域が低いサックスになるほど、より大きくなっていきます。大きくなると音を出す際の肺活量も必要になってきます。女性や非力な方だと大きいものでは体力的にも大変です。
自身が使いたい音域を考えて、まずは持ちやすく、無理なく吹くことができる大きさのサックスを選ぶと良いでしょう。
材質や形状などによる違い
音域や大きさなどの違いだけでなく、注意したいポイントもあります。まずは、材質についてです。サックスは主に真鍮を使って作られていますが、銅の割合を増やしたものや金・銀・洋白など様々な金属でできているサックスがあります。
真鍮は合金なので割合にもよりますが、基本的に比重が軽く硬いために明るく軽やかな音の響きを持ちます。銀は比較的柔らかい素材なので優しい響きになります。金は比重が重たいので吹くのが難しい場合も多いでしょう。
また、素材同様に本体の塗装方法も明るくはっきりした音質のラッカーや金・銀・プラチナのメッキ塗装があります。聞き比べてみて、吹きやすく好みの音質を出すことができるサックスを選びましょう。
初心者におすすめなのはアルトサックス
では、結局これから始める初心者の方はどのようなサックスを選べば良いのでしょうか。おすすめはアルトサックスです。中音域でバランスもよく幅広い音色を出すことができるので、様々なジャンルやソロ演奏での用途にも用いることができます。
初心者用のセットや譜面も充実している点でもおすすめです。はじめはアルトサックスから練習して、用途や好みに応じて他のサックスを演奏してみると良いでしょう。
自分に合ったサックスを選ぼう
サックスには音域や用途、音色によって様々な種類があります。サックスを詳しく理解することで自分に合ったサックスはどのようなサックスか考えてみましょう。また、実際に手に取ってみて聞き比べてみてください。サックスの魅力をさらに深く感じて、素敵なサックスを手にすることができるでしょう。